新・やる気伝道師日記

「やりがい」と「誇り」

BY:出路 雅明
2013年07月21日
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本日は、ヒューマンフォーラム新聞(HFS)
2013年 夏号に載せたコラムをご紹介します。
今年の全国行脚でお話した内容をコラムにしています。

 

HFS ⑤ 2013年 夏号  「やりがい」と「誇り」

HFの素晴らしき仲間の皆さんへ、いつも現場で“ええ仕事”をしていただき本当にありがとうございます! おかげさまで今年の心と技の全国行脚セミナーも“ええ感じ”で進んでおり、残すところは、後方支援部(本部)とモノマニア部門のみとなりました。 今年は「ええ仕事をする」というタイトルでHFの企業理念(想い)、ミッション(使命・目的)、HFスピリッツ(約束・ポリシー)、行動指針(考え方・動き方の基本)と、HFの目指す「ビジョン」を直接みなさんにお伝えさせていただきました。 そしてその使命・目的やビジョンを知っていただくことで「やりかい」と「誇り」を持って、ええ仕事をしてもらえるようにお願いしました。

ではどうしたら「やりがい」や「誇り」を持って仕事に取り組めるようになるのでしょうか? その答えはそう簡単に「こうすればいいよ」なんてお答えできるようなものではありません。 なぜなら「やりがい」も「誇り」も持ちなさいって言われて持てるものではなく、何らかの仕事に夢中で取り組んでいる時に自然と感じているものではないかと思うからです。例えば「よ~し、この仕事は、やりがいを持って取り組むぞ~」って気合いを入れたところで「やる気」を振り絞ることはできても「やりがい」が湧いてくることはないと思うのです。また「誇り」も同じことで「よ~し、この仕事には誇りを持って取り組むぞ」って、いくら自分に言い聞かせたところで「誇り」が湧いてくるってことはないでしょう。

では人はどういった時に「やりがい」や「誇り」を持って仕事に取り組むことができるのでしょうか? 私の場合、使命を感じる目的やビジョン(目標)に向かって仕事をしているって自分自身が感じられている時に「やりがい」や「誇り」を持てているような気がします。 それは別に大きな夢に向かって突き進んでいないといけないとか、世の中に大きな影響を与えるようなことをしなくてはならないとか、そういったことではなく、今、自分たちが取り組んでいる仕事で、誰かが喜んでくれると感じることができた時に「やりがい」が湧いてくるのであり、また自分たちの仕事が人のお役に立っているってことを感じれている時に「誇り」を持てるのではないでしょうか。

こんなふうに考えると仕事に「やりがい」や「誇り」を持つためには、自分のやっている仕事が人に喜んでもらうことにつながり、人のお役に立つことにつながっていると感じることができるかどうかが大切になるような気がします。しかもそれがよりリアルに、どういった人たちが、どんなふうに喜んでくれているかや、どんな人に、どんなふうに役立っているのかという「ビジョン」(影像)が明確に見えていれば見えているほど「やりがい」と「誇り」につながりやすいとも感じます。 例えば仲間やお客さんのお役に立つことができて、目の前で喜んでもらえたらスゴク嬉しいですし、何とも言えない「喜び」を感じると思うのです。その「喜び」みたいなものが「やりがい」や「誇り」へとつながっていくのではないかと思うのです。

しかし仕事には目の前で人が喜んでくれる瞬間ばかりがある訳ではなく、その瞬間は自分のやっている仕事が人の喜びやお役に立つことにつながっているってことをそれほどリアルに感じることができないことが多いと思うのです。そこで大切になってくるのが「目的」や「ビジョン」(目標)ではないかと思うのです。自分のやっている仕事が人のお役に立つという「目的」につながっているってことを忘れないことと、人の喜びにつながっているという「ビジョン」(目標)をいつも想い描き続けることで「やりがい」や「誇り」を持って仕事に取り組んでいけるのだと思います。

ここで全国行脚セミナーで、お話させていただいた「三人のレンガ職人」を使って今一度「やりがい」と「誇り」ってことを解りやすく説明します。

 

 

三人のレンガ職人

世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、  一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。
旅人はその男のそばに立ち止まって、  
「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。
「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。    

  朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。 

  あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、    

  日がな一日レンガ積みさ、腰は痛くなるし、手はこのとおり」

男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。   
「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてない    
    もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」
旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。
 
もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。
先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。 旅人は尋ねた。   
「ここでいったい何をしているのですか?」
「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」
「大変ですね」
旅人はいたわりの言葉をかけた。
「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。    
    ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。    
    俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べて    
    いくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ。」
旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。 

また、もう少し歩くと、 
別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。
  「ここでいったい何をしているのですか?」
旅人は興味深く尋ねた。
   「俺達のことかい?俺たちは歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」
   「大変ですね」  
旅人はいたわりの言葉をかけた。
  「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!」
  「素晴らしいだろう!」
旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。

 

 

最初の職人は、ただ毎日レンガを積んでいるだけで、それが何になるのか考えもしない毎日を送っている。2番目の職人は、責任感を持って仕事に取り組んでいるし家族のために一生懸命にガンバっている。3番目の職人は、偉大な大聖堂を創るという「ビジョン」(目標)が見えている。そして「ここで多くの人が祝福を受け悲しみを払うんだ」という最終的な「目的」をちゃんと見ている。そしてそのことに使命感を持って取り組んでいる。このように「ビジョン」や「目的」が見えていると、この職人のように「やりがい」と「誇り」を持ってイキイキと仕事をすることができるのではないでしょうか?

 

また違った視点からこのお話を見直してみると、一人目の職人は嫌々仕事をしていました。 旅人は慰めの言葉を残しました。 おそらく「辛いんでしょうね?」って感じの言葉を残し歩き続けたことでしょう。 二人目の職人は一生懸命に仕事をしていました。 旅人は励ましの言葉を残して歩き続けた。おそらく「ガンバってね!」って感じの言葉だったことでしょう。 三人目の職人はイキイキと楽しそうにレンガを積んでいました。そして少し会話をした後に旅人は、お礼の言葉を残して、元気いっぱい歩き続けました。おそらく旅人は「ありがとう」や「よろしくお願いします」って言葉を残したのではないでしょうか。このように「やりがい」と「誇り」持ってイキイキと楽しそうに仕事をしていると周りの人を元気にするだけではなく感謝までされるのです。

このストーリーが伝えようとしているポイントは、将来のために「ビジョン」を持ってガンバレとか、世のため人のためになることをしなければいけませんといったことじゃなくて、あなた自身が目の前にある仕事に取り組んでいるその瞬間に「やりがい」と「誇り」を持ってイキイキと楽しんでいるかが何より大切だということを伝えようとしているのだと思うのです。こんなふうに仕事に取り組むことが、まさに「ええ仕事をする」ってことだと感じます。簡単にまとめると「目的」(使命)や「ビジョン」(目標)をしっかりと理解することで「やりがい」と「誇り」を持って、イキイキと喜んで人の喜ぶことやお役に立つことをすることこそ「ええ仕事をする」ってことです。

後に、私自身、HFの一員として、いつもHFの企業理念(想い)、ミッション(使命・目的)と、HFの目指す「ビジョン」(目標)を忘れないよう意識しながら「やりがい」と「誇り」を持って、イキイキと喜んで「ええ仕事をする」一人で在りたいと強く願っています。  ありがとうございます!